北朝鮮のインターネット「空襲」

週間朝鮮2003.03.13. 1744号

●「インターネット掲示板は、抗日遊撃隊が使用していた銃と同じ」。

 合同参謀本部は、2月25日、「北朝鮮が1月初め、対南宣伝放送である韓国民族民主戦線(www.ndfsk.dyn.to、民民戦)を通して、「インターネット掲示板は、抗日遊撃隊が扱っていた銃と同じ武器」とし、韓国内インターネットを積極活用しろという指針を下した」と明らかにした。合参発表以後、北朝鮮が運営するインターネット・サイトに対する関心が高まっている。

 合参は、「朝鮮インフォ・バンク」、「朝鮮中央通信」、「主体思想」、「韓国民族民主戦線」、「自主性」等、5個サイトを北朝鮮が直接運営しているサイトと推定していると発表した。

 過去にも、北朝鮮の党機関紙である労働新聞の内容の一部をインターネットで探し出すことができた。日本の朝総連において労働新聞をインターネットに 上げられていたものである。しかし、数年前までだけでも、インターネット版労働新聞は、実際の日時より数日ずつ遅れた内容を入れていた。また、相当に多い部分が省略されていた。

 しかし最近、事情が変わった。北朝鮮側がインターネットを活用した宣伝扇動に積極的に出ている。朝総連が運営する朝鮮通信は、労働新聞記事(www.kcna.co.jp/today-rodong/rodong.htm)をほぼ時差なく全部送り出している。

 最近、北朝鮮の主張をそのまま盛り込んだサイトが頓に増えた。また、その内容や伝達方式も、漸次発展している。その代表的な例が正に民民戦のサイトである。北朝鮮は、民民戦が韓国で自生的に生まれた組織だという立場である。しかし、合参側は、「民民戦は、開城地域に根拠地を置き、対南放送活動を行っている北韓内部組織」と把握している。

 民民戦のサイトである「救国戦線」において、北朝鮮側動映像、音楽、写真を見ることができる。「偉大なる金日成主席様の労作」や「偉大なる金正日将軍様の労作」等、北朝鮮のイデオロギーを盛り込んだ文書は基本である。主体思想労作60選、朝鮮労働党大会主要文献集等をハングル(HWP)ファイルでダウンロードすることもできる。朝鮮宗教人 反米特別祈祷集会、統一の開き窓我々は1つ、不恃悪、これ以上耐えられない等、動映像を見ることも可能である。

 一部内容は、学術論文に近い。反面、一部内容は、度が過ぎた陰謀論を載せており、果たして宣伝扇動効果があるのか疑問である。「大邱地下鉄惨事の真犯人は誰なのか」という文を見よう。

 「今回の地下鉄大型惨事は、時期的に政権交替を控えた非常に微妙な時に、大邱において発生した。大邱は、ハンナラ党が勢力を誇示するところである。それで、ハンナラ党は、今回の惨事の1番目の嫌疑者 として世間の熱い視線を受けている。

 ハンナラ党は、大選惨敗後、その鬱憤からいまだに盧武鉉政権の 坦々たる出帆を陰に陽に妨害してきた。更に、大統領離就任式を控えては、「北核」問題と対北送金説等にしつこく噛み付き続け、国際的に我が政府の信用度を落として、政権交替の 祝祭雰囲気に灰を撒くのに余念がなかった。今回の大邱地下鉄大型惨事は、そのような灰撒きのもう1つの悪手に他ならない。ハンナラ党は、大統領離就任式をわずか数日を控えて、大型惨事を引き起こすことによって、政権交替の祝祭雰囲気を 壊して、宴会日に喪家の狗を作り出そうとしたのだろう。結局、今回の天人共怒する大型惨事を仕出かした真犯人は、ハンナラ党とその内部の極端勢力である。我が国民は、全員が検察となり、裁判官となって、今回の大型惨事の真犯人、ハンナラ党に厳正な審判を下さなければならないだろう」。

●「救国戦線」宣伝、掲示板に上げろ

 救国戦線は、隔週でインターネットを通して、統一黎明という雑誌を発行している。統一黎明報道資料室のページの最初に上げられている文は、「サイバー学生会を建設しよう」という内容である。統一黎明編集局は、この文を「我が同志達と青年学生運動家達に積極推薦する」と明らかにした。推薦文は、「インターネットを積極活用するのは、沈滞した青年学生運動に活力を 増す斬新な提案」という内容である。「サイバー学生会を既成概念で眺める一部学生運動家達の憂慮を理論的でありながらも、実例を挙げつつ、説得力ある解説で反駁している」というものである。論文は、「韓国変革運動は、時代の変化と無関係に前進することはできず、学生運動の核心と大衆化のためにも、サイバー・スペースに対する積極的な接近は、絶対的に必要である」という内容である。

 統一黎明側は、インターネット上で配布するこの雑誌を全国連合資料掲示板(www.nadrk.org)、統一連帯自由掲示板(www.615tongilyoundai.org)等からダウンロードできると明示してあった。実際に、全国連合資料掲示板には、救国戦線の ものをそのまま上げている。勿論、この資料は、全国連合が上げたものではない。誰でも掲示板資料を上げることができるため、誰が上げたのかを確認することもできない。統一連帯自由掲示板も、同様である。

 インターネットが持つ匿名性という特性上、誰がいかなる資料や文を上げたのか把握するのが難しい。例を取ると、統一連帯掲示板には、北朝鮮が直接運営するものと推定するサイトで製作した資料が上げられている反面、「悪魔金正日の性玩具養成課程」という文も上げられている。サイト運営陣が上げてくる文を統制するのは、事実上不可能である。北朝鮮がインターネットを武器にするのを防ぐことができない。反対に、北朝鮮も、インターネットという武器が自身を狙うのを防げない計算である。

 北朝鮮が直接運営するものと見られるサイト以外にも、多数の親北サイトがある。合参関係者は、「親北サイトは、列挙できない程度に多い」と指摘した。例を取ると、朝鮮の歌のサイト(www.dprkoreamusic.com)に入れば、民謡から北朝鮮歌謡、甚だしくは「金日成大元帥万々歳」、「偉大な主体思想万歳」のような歌を人民革命軍合唱団の歌声で聞くことができる。

 このサイトで聞くことができる北朝鮮の歌は、240余曲。北朝鮮が直接運営するサイトと親北人士達が運営するサイトの差異点は、掲示板の有無である。一般的に北朝鮮が運営するサイトは、掲示板がない。合参は、報道資料を通して、「北朝鮮が直接運営するものと推定されるサイトは、掲示板を運営しておらず、一方的な扇動を行っている」と明らかにした。

 朝鮮の歌のサイトの掲示板には、多様な意見が上がってきている。ケナリという筆名を有する者は、「私は南朝鮮人」と身分を明らかにした。彼は、「偶然に入ってみた」とし、「南朝鮮の歌とは少し雰囲気が異なるが、大部分非常に興味深い歌が多く、本当に良く聞いている」と記した。

●北朝鮮運営サイト防ぐ方もない

 興味深いのは、このサイトの掲示板にも葛藤があることである。あるネチズンは、自身が望む曲名2つを記して、その歌を上げろと運営者に要求している。しかし、彼が記しておいた文がぞんざいで、運営者の感情を損なった。運営者は、「礼儀を守りましょう」という言葉を書き込んだ。サイト登録者情報を照会してみた結果、朝鮮の歌のサイトを登録した者は、P氏である。彼は、現在、米国のニューヨークに居住している。

 民族自主大学サイト(www.minjog.com)も、親北性向である。このサイトは、北韓歌広場、首領論連続講座、主体哲学連続講座等を盛り込んでいる。サイト登録者は、日本の東京に居住していることが明らかになった。サイト管理者は、自らを「祖国の統一を願う素朴な研究者」と紹介している。

 このサイトにも、自由討論広場という名前の掲示板がある。このサイトの掲示板は、元来の製作意図通りに回っていない。一旦上げられた文の大部分が広告である。「成人だけのためのカフェ」、「愛人裸体写真交換」等、成人サイト広告が掲示板を満たしている。

 問題は、北朝鮮が運営するサイトをネチズン達が見たとしても、防ぐ方法がないことである。また、取締が可能だとしても、名分が弱い。国内各マスコミ社にニュースと写真を提供している通信社である連合ニュースは、昨年12月から北朝鮮の官営媒体である朝鮮中央通信とニュースを交換している。

 連合ニュースは、日本の東京において朝鮮中央通信の委任を受けた朝総連の朝鮮通信と記事受信契約を締結した。国内通信社が実時間でサービス中であるニュースをネチズン達が直接見るのを防ぐ名分がないだろう。インターネットは、国境と国家を無力にした。南北朝鮮関係も、例外ではない。

(白カンニョン週間朝鮮記者young100@chosun.com

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最終更新日:2004/03/19

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